17世紀末、アラビア人がスペインのマジョルカ地方に陶器を持ち込みそこからイタリアへも渡り、そして植民地時代の1550年~1560年にかけメキシコ・タラベラ焼きの名の由来でもある、スペイン・トレドの伝統的陶器の町タラベラ・デ・ラ・レイナより、ドミニコ会の修道士たちによってメキシコにもたらされ、プエブラの町に最初の工房が造られました。


 プエブラのタラベラ焼きは、後にメキシコと交流のあったマニラ・ガリレオ船によって伝えられた中国陶器の影響も受け、更に多くの柄や形が生み出されました。現在のタラベラ焼きはスペイン、プエブラ、メキシコ先住民、現代美術などさまざまなものが融合し、多種多様な形と素晴らしい色彩をうみ、それはプエブラの工芸職人の想像力の産物となっています。



 そして、プエブラにおけるタラベラ焼きは、さまざまな空間で歴史と密接しています。
 まず、台所。プエブラの伝統的な台所では、壁やときには天井にまでタラベラのタイルが張られています。また食卓に出される食器に至るまでタラベラの陶器が使われ、そのすべてが一つとなって料理の世界を形づくっています。タラベラで装飾された台所はまるで、美味しく創造的で色あざやかなプエブラ料理を映し出しているようです。そしてタラベラの食器を用いることによって、料理を楽しむと同時に見た目の楽しみも増し、そして料理を他人と共に楽しむと同じように、目の楽しみも共有することができるのです。



 その他、歴史的にタラベラが多く用いられていた空間の一つが、教会や修道院です。洗礼式など最も重要な儀式に使われる手洗い鉢にもタラベラの陶器が使われていました。また、外装にも多く使われ、内部の金でできた祭壇に匹敵するくらい壮麗な外観を造り出そうとしたのです。修道院の中でも食事のときの器にタラベラが使われ、その簡素な日常の生活であたりまえに、何気なく使われていながら、華やかさの中心のようになっていました。



 もう一つ、タラベラが使われていた空間で忘れてはならないのが、個人の邸宅です。家の主人が盛装するのと同じようにタラベラが用いられその家の豊かさや持ち主の性格が、また、内装に使われていたタラベラには収集家の心が表れていました。
絵画のそばにタラベラ陶器を置く、本棚には本と共にタラベラの壺を置く、花瓶や鉢にはいつも好きな花や植物がいっぱいに飾ってある、そんなことが、他人の知らないその人だけのこだわりを秘かに語っているようで、タラベラ陶器一つをとっても、さまざまな想いがこめられていたのです。

スペイン町、タラベラ・デ・ラ・レイナ
メキシコ、プエブラの町の中心部
タラベラのタイルのある台所
タラベラが張られた教会の上部
プエブラ市にあるサンフランシスコ教会・修道院の外壁
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